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August 2009 の記事

モニターももうすぐ三ヶ月です。
このクラスの同スペックな PC はたくさんあります。
基本的な PC 部分の性能はほぼ横並びでそれほど大きな違いはありません。
PC 部分はおそらくあまり他と変わらない感想になってしまうことでしょう。

だからこそ差別化が必要で、その点メビウスは強烈な個性を持っていました。
光センサー液晶パッドを搭載していることです。

タッチパッド部分が液晶画面なのです。
この液晶パネルがセンサーも兼ねているとのこと。
この不思議なデバイスは、各画素が光に反応し2次元のイメージとして取り込むことが
できるようです。
処理次第では全く制限のない入力装置になるかもしれません。

惜しむらくはこの個性とテクノロジーが、メビウス自体の魅力に思ったより
つながっていなかったということです。
この点過去の書き込みでいくつか考察してきました。

それでもレポート開始当初はかなり楽観視していました。
6月に開発キットが公開されるとの記事があったからです。

ASCII.jp 謎のMebiusは光センサー液晶パッド搭載のNetbook!
 >光センサー液晶パッドのアプリケーション開発に必要な情報や開発キットは、
 >同社から6月くらいに提供される予定。ユーザーにより開発された独自アプリ
 >ケーションの登場も期待される。

初物で使いづらい点があったとしても、もしかしたら自力で何とか出来るのでは無かろうかと。
レポートに書くネタにもなるし仕組みや出来ることに興味もあったからです。

でも結局開発キットは無し。
アプリケーションが一つ追加されたのみで、光センサー液晶パッドで出来ることは
残念ながら発売直後とあまり変わりませんでした。


●おすすめできる点

・手書き文字入力

パソコンで手書文字認識できる機能はよくあります。その扱いやすさを考えると
電子辞書のように手前に液晶パッドが付いているスタイルはたいへん理にかなっています。

タッチパネル付きの PC は少なくないですし、タブレット PC だって各種あります。
でもキーボードの奥の液晶画面まで手を伸ばして、そのままペンで書くのはたいへんです。
逆に液晶を折りたたんでタブレット形状にしてしまうとキーボード操作に難儀します。

メビウス PC-NJ70A は普段の PC スタイルながら、すぐ手が届く手前にタッチパッド
があり、いつでもペンを扱えます。キーボード操作も妨げません。
メイン液晶+キーボード+液晶パッド、といったスタイルは今のところメビウス
独自のものです。

もう少し動作が速くて気持ちよく操作できたなら、手書き以外の他の機能も
お勧めできたかもしれません。


●改良希望点

通常のタッチパッドと比べてまだ使いづらいところがあります。
独自の専用アプリケーションもまだまだ不足しているように思います。
このように 1つ 1つの細かい点は気になりますし、実際にレポートやアンケートで
報告させていただきました。
でも本当は、ソフトウエアで継続して更新していけるのが PC の良いところです。

結論として、今最も感じている足りないところは、発売&モニターレポート開始から
3ヶ月経過してもほとんど変わってないところだと思います。

光センサー液晶パッドを使ったアプリが次々と出ていたり、アイデアをすぐに実現
出来る環境があったなら、今は多少不満があっても
「今後なんだか良くなっていきそうだ」 とか 「今後面白くなっていきそうだ」 といった
勢いや流れが見えていたかもしれません。
自分で何とか出来そうだ、と思えるだけでも十分だったと思います。

おそらく今一番危惧しなければならないのは、このまま変わらないのではないかと
思ってしまうことでしょう。


関連エントリ
メビウス PC-NJ70A (8) タッチアプリとイルミスキャン
メビウス PC-NJ70A (7) 一ヶ月後
メビウス PC-NJ70A (6) ユーザーインターフェース
メビウス PC-NJ70A (5) サブモニタ
メビウス PC-NJ70A (4) 使用感
メビウス PC-NJ70A (3) Windows7 RC を入れる
メビウス PC-NJ70A (2) 初期セットアップとメモリ増設
メビウス PC-NJ70A 液晶センサータッチパッド
メビウス PC-NJ70A 画面解像度とタッチ


こちらで触れたように Multitouch 周りは Windows7 ベータの時と仕様が若干
変わっています。なかなか試せず時間がたってしまいました。
ベータの WM_TOUCH

Multitouch API には 2系統あります。WM_TOUCH と WM_GESTURE です。
WM_TOUCH は複数の点の座標をそのまま送ってくるメッセージ、WM_GESTURE は
ある程度の動作を判断したあとに送られてきます。
両者は共存できないので、あらかじめどちらを使うか切り替えておくことになります。

ベータの時は WM_TOUCHDOWN, WM_TOUCHUP, WM_TOUCHMOVE と 3種類
メッセージがありました。RC 以降は WM_TOUCH 一つにまとめられています。
WM_TOUCH 系は複数のタッチ点の座標を一度に送信してくるため、それぞれ個別に
DOWN/UP する可能性があります。受け取った構造体の TOUCHINPUT には個別に
UP/DOWN/MOVE フラグが立っているので情報としては十分です。
複数の点をまとめて WM_TOUCHDOWN/TOUCHUP/TOUCHMOVE とひとくくりに
なっていたのは GESTURE のような操作を想定していたからかもしれません。

少々不思議なのは個別の UP/DOWN/MOVE は本当に区別できるのかということ。
座標はその瞬間サンプリングされたタッチ点なので厳密には個々のポイントを区別
することができず、連続性を持った値になるとは限りません。
例えば移動中のマルチタッチ点が増えたとして、どの点が新規にタッチされたものか
区別しなければならないということです。
サンプリングレートが十分速くて移動が限られている UI 操作ならそれほど問題
ないのかもしれません。
WM_TOUCH のイベントでは Windows 側で同一点の処理が行われており、
TOUCHINPUT の dwID に識別番号が入っています。
dwID が同じものを見ていくと DOWN ~ MOVE ~ UP の流れを見ることが
できるわけです。

lparam がハンドルなので、GetTouchInputInfo() で詳細を受け取ります。
これもベータ時の HANDLE から HTOUCHINPUT に変更されているようです。

void WM_Touch( UINT mes, WPARAM wparam, LPARAM lparam )
{
    int inputs= LOWORD( wparam );
    TOUCHINPUT  tbuf[ 32 ]; // inputs
    HTOUCHINPUT	hinput= reinterpret_cast( lparam );
    if( GetTouchInputInfo( hinput, inputs, tbuf, sizeof(TOUCHINPUT) ) ){
        TOUCHINPUT*  tp= tbuf;
        for( int i= 0 ; i< inputs && i < 32 ; i++, tp++ ){
            ~
	    tp->dwID // 識別
	    tp->x, tp->y // 座標
	    tp->dwFlags // UP/DOWN/MOVE
	}
    }
    CloseTouchInputHandle( hinput );
}

実際の 2点タッチだとこんな感じです。

0:(34054,41033) ID=3 flag=3a mask=4 ex=0 cx=4881 cy=5874 DOWN INRANGE PRIMARY NOCOALESCE 

0:(34054,41033) ID=3 flag=39 mask=4 ex=0 cx=4881 cy=5874 MVOE INRANGE PRIMARY NOCOALESCE 
1:(46230,31629) ID=4 flag=2a mask=4 ex=0 cx=5162 cy=5057 DOWN INRANGE NOCOALESCE 

0:(34007,40957) ID=3 flag=19 mask=4 ex=0 cx=5179 cy=5057 MVOE INRANGE PRIMARY 
1:(46224,31614) ID=4 flag=09 mask=4 ex=0 cx=4974 cy=5874 MVOE INRANGE 

0:(33966,40880) ID=3 flag=39 mask=4 ex=0 cx=5121 cy=5061 MVOE INRANGE PRIMARY NOCOALESCE 
1:(46212,31600) ID=4 flag=29 mask=4 ex=0 cx=4951 cy=5877 MVOE INRANGE NOCOALESCE 

0:(33796,40627) ID=3 flag=39 mask=4 ex=0 cx=5121 cy=5061 MVOE INRANGE PRIMARY NOCOALESCE 
1:(46330,31582) ID=4 flag=29 mask=4 ex=0 cx=4951 cy=5877 MVOE INRANGE NOCOALESCE 

0:(33632,40378) ID=3 flag=39 mask=4 ex=0 cx=4916 cy=5068 MVOE INRANGE PRIMARY NOCOALESCE 
1:(46447,31563) ID=4 flag=29 mask=4 ex=0 cx=4904 cy=5870 MVOE INRANGE NOCOALESCE 

0:(33082,39298) ID=3 flag=39 mask=4 ex=0 cx=4916 cy=5068 MVOE INRANGE PRIMARY NOCOALESCE 
1:(46757,31680) ID=4 flag=29 mask=4 ex=0 cx=4904 cy=5870 MVOE INRANGE NOCOALESCE 

0:(32531,38217) ID=3 flag=19 mask=4 ex=0 cx=3779 cy=5108 MVOE INRANGE PRIMARY 
1:(47074,31801) ID=4 flag=09 mask=4 ex=0 cx=4464 cy=5870 MVOE INRANGE 

0:(32531,38217) ID=3 flag=34 mask=4 ex=0 cx=3779 cy=5108 UP PRIMARY NOCOALESCE 
1:(47074,31801) ID=4 flag=29 mask=4 ex=0 cx=4464 cy=5870 MVOE INRANGE NOCOALESCE 

0:(47074,31801) ID=4 flag=24 mask=4 ex=0 cx=4464 cy=5870 UP NOCOALESCE 

座標値をピクセルに変換するには TOUCH_COORD_TO_PIXEL()。

HP TouchSmart IQ800 を使っていますが、たまに multi touch が無効になっている
ことがあります。何らかの更新のタイミングで、別のドライバに上書きされて
しまっているようです。ドライバを入れ直すと再び使えるようになります。

nextwindow Windows 7 Touch Screen Driver


関連エントリ
Windows SDK for Windows7 RC と Multitouch / Direct3D 11
Windows7 Multitouch API その(2) WM_GESTURE 系
Windows7 Multitouch API