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22 January 2007 の記事

PS3 の CPU である Cell は 3.2GHz で動いています。
Cell は複数の CPU core の集合体であり、中には PPU ×1 と SPU × 8個の
合計 9個の CPU core が含まれています。
ただし PS3 版 Cell では SPU の個数は 7個に減っており、合計 8 core です。

Cell が圧倒的なパワーを持つといわれているのはこの 8個 (7個) の SPU を持って
いるからです。SPU だけで 8個 (7個) の異なるプログラムを同時に走らせることが
できて、特に大量の浮動少数演算でその威力を発揮します。

これらの複数の SPU を統合整理するのが PPU の本来の用途だといわれています。

PPU 自体は 64bit の Power アーキテクチャで、PowerPC と完全に命令セットの
互換性があります。Linux を比較的容易に走らせられるのもこのためで、
PowerPC 用の一般のバイナリパッケージをインストールすることが可能です。

PowerPC G5 (970) が最大でも 2~2.5GHz 前後だったことを考えると、3.2GHz で
動作する Cell は PPU だけでもかなり高速な印象を与えます。でも実際はそれほど
でもありません。

もともと PowerPC は比較的効率の良い動作をする CPU でした。ヒット率の高い分岐
予測やアウトオブオーダー実行、レジスタのリネーミングなど、パイプラインの
無駄を高度なアルゴリズムで実行時に回避します。またそのような方向で進化して
きました。割と一定した速度の出る、どんなプログラムでも速度が落ちにくい CPU
アーキテクチャだという印象があります。

逆にそれが複雑な設計を招いているのか、比較的高クロック化の妨げになっていた
と考えられます。

Cell や Xbox360 の CPU で使われているこの新しい CPU Core は、これまでの
PowerPC の路線とは完全に逆向きの設計が行われているようです。

つまり、高クロック化の妨げとなるような複雑な設計はやめて、シンプルかつ小さな
core にすること。その代わり速度を高クロック化とマルチコア化で稼ぐというもの
です。

もちろんアウトオブオーダー実行できないと、パイプラインは依存が発生する
たびにスカスカになることが考えられます。これを回避するための方策として用い
られているのがマルチスレッド化です。PPU 1つでも、依存関係の無い 2つのスレッド
コンテキストを持つことで、パイプラインの無駄を回避しようというわけです。

Pentium4 の HyperThread と似たようなものといえるかもしれません。だけど HT
よりもスレッドへの依存はより積極的だと考えられます。

まとめるとこんな感じになります。

・高クロック化の妨げになる複雑な高度な回路は無くする
  → シンプルになるので高クロック化しやすい
  → 複雑な回路が減って面積が小さくなる
  → CPU の動作効率が落ちる

・落ちた動作効率をカバーするために次の新たな技術を導入する
  → 高クロック化
  → マルチコア化
  → マルチスレッド化

動作効率の低下は、CPU を複数積んで、クロックをあげることで回避せよと。
またパイプラインや演算ユニットの無駄はスレッドで回避しろと、ある意味力技に
見えます。

これらの仕様を考慮すると、CPU の癖というか性格としては、次のような傾向になる
ことが予想できます。


  ピーク性能は高いがかなりピーキーであり、性能を安定して引き出す
  のは難しい。


・コンパイラ依存率が非常に高くなる
  → 実行時の命令順最適化が行われないので、あらかじめコンパイル時に厳密に
   最適化しておく必要がある。そうでないと性能が出ない。

・スレッドを2本走らせないと100%性能を発揮できない
  → 別スレッドでパイプラインを埋めることが前提の設計なので、スレッド1本
   では無駄が発生している。


つまり同じ Power アーキテクチャといえども、これまでの PowerPC とは全く正反対
の性格付けになっているわけです。

ちなみに Xbox360 の CPU は、SPU が無い代わりに Cell でいう PPU 相当が 3つ
入っています。2次キャッシュの容量とベクトル専用命令の追加に違いがありますが、
CPU core そのものの特徴や傾向は全く同じだと考えられます。

Xbox360 の CPU も、100% の性能に近づけるためにはそれぞれの core で 2スレッド、
合計 6スレッド分のプログラムが必要だということです。

PS3 Linux で PPU が 2個の CPU に見えるのは、このように HT のような2本の
スレッドが走るためです。

PS3 Linux で実際に使ってみて結構動作が遅く感じるのは、もちろん Cell のうち
ごく一部しか活用されていないこともありますが、従来の PowerPC 用コンパイラ&
バイナリでは相性が悪いというのも若干影響しているかもしれません。


Linux を使って Playstation3 をネットラジオプレイヤーにしてみました。
ゲームをしていないときの PS3 活用方法として意外に便利かもしれません。

PS3 に Fedora Core 5 を full install するとさまざまなアプリケーションが
入りますが、そのままでは mp3 の再生ができないようです。
ネットで調べると、この辺いろいろと設定したりソフトウエアやプラグインを
インストールしたりと少々手順が必要です。
ところが同じ Linux でも、FC5 ではなく Debian の方を使うと
特に何もしなくても再生することができました。

もっとも、PS3 の場合音楽再生だけなら GAME-OS (XMB) でもできるので、
ここではネットラジオを再生してみます。

以下 PS3 上の Debian (Etch) の設定です。


● サウンドを有効にする

Debian では最初 PS3 用のサウンドドライバが読み込まれていないため、
「modprobe snd_ps3pf」を実行する必要があります。

この読み込みを自動で行うために、/etc/modules に snd_ps3pf という行を追加
します。テキストエディタで編集してください。追加後下記のようになりました。

--------------------

gelic_net
loop
ps3pf_storage
snd_ps3pf

--------------------

設定したら一度再起動しておきます。


●データの再生

これで一般的な音楽データは再生できるようになります。
例えば mp3 ファイルの再生も OK です。
ただし標準で立ち上がる「動画プレイヤー」(totem)だとかなりノイズが乗るので
Rhythmbox の方をお勧めします。


●インターネットラジオの再生

Rhythmbox の演奏メニューから「新しいインターネット・ラジオ局」を開きます。
ここに再生用の URL を入力すれば OK です。
入力した URL がラジオ局一覧に入るので、ダブルクリックで再生できます。
URL は .pl や .m3u 等のファイルをエディタで開くと確認できます。

もしくはブラウザでネットラジオのページの再生ボタンを押して、
アプリケーションで開く先を Rhythmbox にします( /usr/bin/rhythmbox )。
これで簡単にラジオ局一覧に取り込めるようになります。
SHOUTcast の再生もできました。

標準のブラウザだと開く先のアプリケーションをその場で指定できないので
「動画プレイヤー」(totem) が起動してしまいます。
先に Firefox を入れておいた方がよいでしょう。
ターミナルから下記のように実行して追加できます。

 $ su
 # apt-get update
 # apt-get install firefox
 # exit
 $ firefox


●他のプレイヤーの追加

Rhythmbox ではなく他のプレイヤーを使うこともできます。
この場合ブラウザでクリックしてプレイヤー選択するだけで再生できます。
例えば xmms を追加するなら Firefox と同じように

 # apt-get update
 # apt-get install xmms

と実行します。これでインストール完了です。メニューから呼び出せます。


Debian の場合 Live CD を簡単に作れるので、CD から起動できるネットラジオプレイヤー
なんてできそうですね。