PlayStation 4

PC では 4 core x HT でハードウエア 8 スレッドは当たり前になりましたが、
完全に独立した 8 core でプログラムを走らせる機会はまだあまり多くありません。
1 core あたりの演算能力がどの程度かわかりませんが、
うまく並列化できれば最大 8倍 (数倍)のパフォーマンスを見積もれるのは
ユニークだと思います。

ゲーム機は Xbox360 や PS3 の時点で multi core + HT (Hardware Multi Threading)
が当たり前となっています。
ただし core の数と高い動作クロック数を維持するために、
これまでは非常にシンプルなデザインの CPU core が用いられていました。

PPE+SPE で 8 core 搭載する Cell はもちろん、3 core の Xenon も
pipeline は in-order で、単体の実行効率はあまり高くありません。
その代わり 2 thread を interleave することで見かけのレイテンシを減らしています。
3.2GHz の 1個は、ある意味 1.6GHz 2個相当といえるのかもしれません。

比較的単純な In-order の core に HT を組み合わせて
高いクロックで走らせる手法は Atom に近い考え方です。
ただし Atom は省電力に用い、ゲーム機は高性能化のためで目的が異なります。
また Atom は interleave ではなく、さらに core あたりの演算能力は
Cell PPE, Xenon の方が高くなっています。

PS4 の CPU はこれまでと違い、比較的実行効率の高い core が多数
並列に存在していることになります。
ハイエンド core ではありませんが out-of-order の 2並列なので、
おそらく Cell/Xenon/Atom よりも、
クロック周波数に対して違和感ない速度で動作するのではないかと予想されます。

Cell/Xenon/Atom は HT 依存 In-order であり
ピーク性能は高くても single thread では性能を引き出すことができないため、
クロック周波数よりも遅い印象を受けるからです。
速いけどピーキーな CPU が多数存在していた前世代から、
PC と同じように比較的扱いやすい CPU core で均等な 8並列に移行したのだと
考えられます。

GPU 性能に関してもバス速度で推測出来ます。
176GB/sec の帯域があるそうなので、少なくてもこれくらい必要とするだけの能力が
システム全体に備わっていると言えます。

GC         2.6GB/s
PS2        3.2GB/s (+VRAM 48GB/s)
Xbox1      6.4GB/s
Xbox360   22.4GB/s (+ED RAM 32GB/s)
PS3       22.4GB/s (+CPU 25.6GB/s)    ( 22.4 =  3.2  x7.0倍)
PS4      176  GB/s                    (176.0 = 22.4  x7.8倍)

PCハイエンドの GPU では VRAM が 200GB/s を優に超えているのですが、
VRAM 容量では single で 8GB 搭載したビデオカードは自分が知る限りでは
まだ無かったように思います。
今までできなかったメモリをふんだんに使用したアルゴリズムが
利用できるようになりそうです。

おそらく CPU 性能や演算能力ではモバイルデバイスの進化の方が速いので、
数年後に追いつかれる可能性があります。
ですが GPU とバス帯域に関しては、据え置き専用機としてのアドバンテージが
十分備わっているといえるのではないでしょうか。

ユーザーとして欲しいかどうかは置いといて、
開発者としてはどのようなアルゴリズムを実装してみようかと、
いろいろと考えるだけでも楽しみなハードウエアではないかと思います。
モバイルデバイスの方が進化が早いと思っていましたが少々興味を持ちました。

関連エントリ
2007/01/22: PS3 PPU は速いのか