HTC Vive のソフトウエアセットアップは、下記サイトのツールを起動して画面に従っていくだけで完了します。
・Vive Setup (www.htcvive.com/jp/setup)
各デバイスの認識状態の確認には StemVR アプリを使います。Base Station 同士がお互い遮蔽物がなく見える位置にあること、ヘッドセット及びコントローラーが両方の Base Station から見える位置にあることが重要になってきます。うまく認識されていない場合は StemVR のメニューから 「Viveヘッドセットを再起動」 すると良いようです。
上の Vive Setup のページには推奨 PC も書かれています。Oculus Rift との比較は下記のとおりです。
Oculus Rift CV1 | HTC Vive | |
---|---|---|
GPU | GTX 970 / R9 290 以上 | GTX 970 / R9 290 以上 |
CPU | Core i5-4590 以上 | Core i5-4590 / FX 8350 以上 |
RAM | 8GB 以上 | 4GB 以上 |
HDMI / DP | HDMI 1.3 以上 | HDMI 1.4 / DP 1.2 以上 |
USB | USB 3.0 x3 + USB 2.0 x1 | USB 2.0 x1 |
・Oculus Rift : Recommended PC Specification
・HTC Vive : Recommended System Requirements
どちらも 1080×1200 x2 (2160×1200) 90fps とスペックが似通っているためか推奨 GPU は同一でした。最も異なっているのは USB Port の数で、Oculus Rift は USB 3.0 を含む合計 4個の USB Port を使っています。一方 HTC Vive は USB 2.0 が 1個だけで済んでおり、トラッキング方法の違いが表れています。
・GAME Watch: Gamescomで存在感を増してきたSteamVR初号機「HTC Vive」
・GAME Watch: Valve「Lighthouse」とOculus CV1のトラッキングはどっちが凄い?
上の記事の解説によると HTC Vive はヘッドセット/コントローラー側に受光器があり、BaseStation はレーザー光のパルスを発光しているだけとなっているようです。Base Station は PC と直接繋ぐ必要がなく、またコントローラーもワイヤレスなのでセンサーの通信量もそれほど多くないのでしょう。Oculus の方はおそらく高フレームレートで Camera 画像を読み取っており、それなりの帯域が必要になっているのだと思われます。
発光だけとはいえ、HTC Vive の Base Station は決して簡単な構造ではないようです。電源を入れると僅かな振動が感じられ、中でモーターが高速に回転していることがわかります。それなりに重量もあり、ずれないように安定した設置場所の確保が必要です。
推奨 spec 以下の PC では本当に動かないのか試してみました。HTC Vive では動的に性能の監視をしており、90fps に満たない場合はアプリケーションの描画が行われないようになっています。起動してみてアプリの画面が表示されなければスペックが足りていません。必要な描画性能はアプリケーションに依存しますが、目安となる測定ソフトが提供されています。
下記は SteamVR Performance Test の結果です。
CPU AMD A10-7870K | 評価 | Frame | 遅延 | 結果 |
---|---|---|---|---|
GeForce GTX 960 Maxwell | 3.4 (中程度) | 9352 | 0% | VR可能 |
GeForce GTX 760 Kepler | 0 (低い) | 7466 | 94.1% | VR使用不可 |
RADEON R7 (7870K 内蔵) | 0 (低い) | 1849 | 100% | VR使用不可 |
CPU Core i7-4790K | 評価 | Frame | 遅延 | 結果 |
GeForce GTX 960 Maxwell | 3 (中程度) | 9571 | 0% | VR可能 |
GeForce GTX 980Ti Maxwell | 9.7 (非常に高い) | 10292 | 0% | VRレディ |
「VR 可能」判定は描画が 90fps を下回らないかどうかでデジタルに決まります。そのため GPU 性能に比例した数値は、評価 よりも Frame (実際に描画した Frame 数) の方が近くなっています。例えば GTX 960 と GTX 760 を比べると、Frame の値はそこまで差が開いていませんが 760 はぎりぎり 90fps に達していないのだと思われます。そのため結果としては「VR使用不可」となっています。
GTX 960 は 100% 90fps を超えているため「VR可能」ですが、性能上余裕が無いためか評価は「中程度」に収まっています。おそらくソフトによっては処理落ちが生じ、全く表示されないアプリが出てくるものと思われます。i7-4790K でも結果はほぼ同じだったので、純粋に描画性能が問題となってるようです。
A10-7870K 内蔵 GPU RADEON R7 の場合 Frame の数値がかなり落ちています。↓ CPU のスコアもかなり落ちているので、バス帯域が間に合っていないのだと思われます。
A10-7870K + GTX 960 の組み合わせなら一応「VR可能」なので実際に幾つかのアプリを試してみました。Fantastic Contraption や Tilt Brush ではほぼ問題なく動きました。が、どうやら GPU よりも CPU が追いつかないらしく The Lab などの重いソフトではトラッキングが処理落ちし、ぶれて安定しなくなります。描画落ちではないのでシステムで検出されないようです。
SteamVR Performance Test は GPU/CPU の描画だけの評価を返しますが、トラッキングなど VR では描画意外でも CPU 能力を要求しています。影響が出るのできちんと推奨スペックを守った方が良さそうです。