Direct3D 10 ビデオカードの違いはわからない

Direct3D10 になって「caps がなくなった」のは大きな特徴のひとつです。
MS の DX10 ppt スライド等でも何度も出てきており、メリットとして強調
しています。

従来メーカー毎に、ビデオカードごとに、さらにはドライバごとに対応機能も
能力もばらばらなのが当たり前でした。

新しいビデオカードを手に入れたなら、まずは caps を調べます。
対応するサーフェースフォーマットを調べて、テクスチャサイズの制限を調べて、
使えるブレンドモードを調べて、、次に各種パフォーマンスと
やることがたくさんありました。

DirectX API のすべての機能が最初から使えるビデオカードなど無いので、
手に入れてから見たことがない機能が enable されていたりすると
妙に嬉しかったりするわけです。(←それは一部のマニアだけです)

nVIDIA と ATI の2強になってからは手間が大幅に減りましたが、このような
能力の差はかなりの開発の負担となります。結局どれでも動く当たり障りの
無い機能しか使えないし、動作確認もばかになりません。

Direct3D10 ではこの負担を減らすために、機能はどのビデオカードでも
同じように使えることが前提となりました。なので、caps が廃止された
ことの本当の意味は

 caps によって機能の違いを調べる必要が無い

ということです。

実際に RADEON HD2900XT を使ってみました。
caps が違ったり機能が違ったり、列挙の値が違ったりすることも全く無くて、
普段使ってる GeForce8800GTS と一見何も変わりません。今までのように API
を使う上での違いが全く見えません。ちょっとさびしいくらいです。

これは API から見えないだけで本当はハードの特性は異なっており、
機能ではなく速度面で調査する段階になったらかなりの個性が見えてくる
はずです。

だけどそのような違いも一見ドライバレベルで隠蔽されていて、おそらく下位
モデルで試しても全く同じなのでしょう。

プログラムの開発上は機能的な差がなくなりましたが、パフォーマンスを維持
するならある程度の機能的取捨選択のノウハウは必要になると考えられます。

一見違いが無くても、下位モデルでは一部機能がソフトウエア実装だったり
使えるリソースが大幅に減っていたりする可能性が十分考えられるからです。

これらの可能性があるとしても機能的な違いが開発側から見えないということは、
開発が楽になることの裏返しとして、
実はその選択をユーザー側に押し付けているだけなのかもしれません。

アプリケーション側での選択の余地が減った代わりに、ユーザーが自分で
パフォーマンスが足りなければ機能を落として、またはより良いハードを購入
して対処しなければならないからです。

作る側としてはそうならないよう、努力を忘れないよう、
肝に銘じておきます。