Meta Quest 3 は今年 (2023年) の 10月に発売されたばかりの最新の VR ヘッドセットです。Inside Out のセルフトラッキングのみで 6.6DoF を実現する Quest シリーズの 3世代目であり、カラーパススルーに対応したことで MR ゲームもプレイできるようになりました。
シースルー型の HoloLens と違い、ディスプレイ部が視界の一部のみに限られていることもありません。HoloLens に期待していた世界が Quest3 でようやく現実になったといえます。
MR 機能だけでなく、世代が上がりプロセッサもトラッキングも強化されています。特にコントローラーはトラッキング用の LED リングが無くだいぶ小さくなりました。VR というより Switch のような左右分離型のただのゲームコントローラーに見えます。
その Quest3 で以前 Termux が動くことを確認したので同時に vfpbench も走らせてみました。ただし実行中も画面の描画やトラッキングは行われていたため、結果の値には注意が必要です。プロセッサ自体のピーク性能ではなく、GPU やトラッキングにリソースが奪われている状態での結果と思ってください。
スペックによると Quest 3 のプロセッサは Qualcomm Snapdragon XR2 Gen2 が採用されていることがわかります。
・https://www.meta.com/jp/quest/quest-3/#specs
計測結果は以下の通り
アプリケーションから見えるプロセッサは 6 Core で 2+4 の 2グループでした。
CPU Thread: 6 CPU Core : 6 CPU Group : 2 Group 0: Thread= 2 Clock=2.054400 GHz (mask:3) Group 1: Thread= 4 Clock=2.361600 GHz (mask:3c)
この両グループの結果を比べてみると、各命令の IPC には明確な差がなくクロック以外はほぼ同等となっています。そのため同じ CPU core が使われている可能性があります。なおこの情報だけではプロセッサの種類まで特定することはできませんでした。
NEON fmul.2d (64bit x2) n12 : 0.819 5189.4 2594.7 ( 2.0 1.1) NEON fadd.2d (64bit x2) n12 : 0.816 5209.8 2604.9 ( 2.0 1.1) NEON fmla.2d (64bit x2) n12 : 0.819 10376.6 2594.1 ( 4.0 1.1)
64bit と 128bit に差がないのでリトルコアではなく、また fma と mul/add の差もないため、X1~X3 のようなハイエンドコアでも無さそうです。ただし計測結果はミドルコアのクロックにしてはあまり高くないので、バックグラウンドでパフォーマンスが奪われていたのかもしくは動作中に想定よりクロックが落ちていた可能性があります。この結果はあくまで参考程度でお願いします。
Total: SingleThread HP max: 42.163 GFLOPS SingleThread SP max: 21.240 GFLOPS SingleThread DP max: 10.445 GFLOPS MultiThread HP max: 263.868 GFLOPS MultiThread SP max: 134.370 GFLOPS MultiThread DP max: 63.517 GFLOPS