Meta Quest シリーズの価格変化のまとめ

Meta Quest (Oculus Quest) の価格の変動をまとめてみました。

2019/052020/092021/072022/082023/032023/062023/102024/01
Quest 1 64GB$399
49800
Quest 1 128GB$499
62800
Quest 2 64GB$299
37180
Quest 2 128GB$299
37180
$399
59400
変更なし$299
47300
変更なし$299
39600
Quest 2 256GB$399
49280
変更なし$499
74400
$429
64405
$349
53900
変更なし$349
46200
Quest 3 128GB$499
74800
変更なし
Quest 3 512GB$649
96800
変更なし

Meta Quest3 の CPU (Snapdragon XR2 Gen2)

Meta Quest 3 は今年 (2023年) の 10月に発売されたばかりの最新の VR ヘッドセットです。Inside Out のセルフトラッキングのみで 6.6DoF を実現する Quest シリーズの 3世代目であり、カラーパススルーに対応したことで MR ゲームもプレイできるようになりました。

シースルー型の HoloLens と違い、ディスプレイ部が視界の一部のみに限られていることもありません。HoloLens に期待していた世界が Quest3 でようやく現実になったといえます。

MR 機能だけでなく、世代が上がりプロセッサもトラッキングも強化されています。特にコントローラーはトラッキング用の LED リングが無くだいぶ小さくなりました。VR というより Switch のような左右分離型のただのゲームコントローラーに見えます。

その Quest3 で以前 Termux が動くことを確認したので同時に vfpbench も走らせてみました。ただし実行中も画面の描画やトラッキングは行われていたため、結果の値には注意が必要です。プロセッサ自体のピーク性能ではなく、GPU やトラッキングにリソースが奪われている状態での結果と思ってください。

スペックによると Quest 3 のプロセッサは Qualcomm Snapdragon XR2 Gen2 が採用されていることがわかります。

https://www.meta.com/jp/quest/quest-3/#specs

計測結果は以下の通り

vfpench MetaQuest3

アプリケーションから見えるプロセッサは 6 Core で 2+4 の 2グループでした。

CPU Thread:  6
CPU Core  :  6
CPU Group :  2
  Group 0: Thread= 2  Clock=2.054400 GHz  (mask:3)
  Group 1: Thread= 4  Clock=2.361600 GHz  (mask:3c)

この両グループの結果を比べてみると、各命令の IPC には明確な差がなくクロック以外はほぼ同等となっています。そのため同じ CPU core が使われている可能性があります。なおこの情報だけではプロセッサの種類まで特定することはできませんでした。

NEON fmul.2d (64bit x2) n12       :    0.819     5189.4     2594.7  (  2.0 1.1)
NEON fadd.2d (64bit x2) n12       :    0.816     5209.8     2604.9  (  2.0 1.1)
NEON fmla.2d (64bit x2) n12       :    0.819    10376.6     2594.1  (  4.0 1.1)

64bit と 128bit に差がないのでリトルコアではなく、また fma と mul/add の差もないため、X1~X3 のようなハイエンドコアでも無さそうです。ただし計測結果はミドルコアのクロックにしてはあまり高くないので、バックグラウンドでパフォーマンスが奪われていたのかもしくは動作中に想定よりクロックが落ちていた可能性があります。この結果はあくまで参考程度でお願いします。

Total:
SingleThread HP max:   42.163 GFLOPS
SingleThread SP max:   21.240 GFLOPS
SingleThread DP max:   10.445 GFLOPS
MultiThread  HP max:  263.868 GFLOPS
MultiThread  SP max:  134.370 GFLOPS
MultiThread  DP max:   63.517 GFLOPS

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SteamDeck に Ubuntu で開発環境を作る (Distrobox)

SteamDeck の最新の OS には最初から Distrobox がプリインストールされており、簡単に Ubuntu などの環境を入れられることがわかりました。前回の vfpbench は SD-Card から起動した Windows11 上で走らせましたが、今回は SteamOS 上でそのまま実行できるように Ubuntu を入れてみます。

● デスクトップの設定

以降の一連の作業は USB Hub 経由で SteamDeck に USB のキーボードとマウスを接続した状態で行っています。Bluetooth のキーボード&マウスでも構いません。

(1) デスクトップに切り替える

  1. STEAM ボタン → 電源 →「デスクトップに切り替え」

元のゲーミングモードに戻るには、デスクトップ左上の「Return to Gaming Mode」のアイコンダブルクリックかログアウトを行います。

(2) キーボード配列を日本語に変更する場合

  1. 左下の Application Launcher アイコンクリック→ Settings → System Settings
  2. 一番上の Keyboard → Layouts Tab を開く
  3. 「Configure layouts」にチェックを入れる → 「+ Add」をクリック
  4. “Japanese” で検索して「Japanese (OADG 109A)」を選択
  5. デフォルトで入っている「us English (US)」を選択して「- Remove」をクリック
  6. 右下の「Apply」をクリック

(3) 表示言語を日本語に変更する場合

  1. 左下の Application Launcher アイコンクリック→ Settings → System Settings
  2. Regional Settings → Language 右端の「Modify…」
  3. 「Change Launguage」→「日本語」を選択→右下の「Apply」→右上の「Restart now」→「OK」
  4. 再起動後、ゲーミングモードになっている場合は再び STEAM→電源→「デスクトップに切り替え」

● Distrobox で Ubuntu をインストールする

Distrobox / podman 自体のインストール手順は不要です。公式 Image を使ってクリーンインストールした状態でも /usr/bin にコマンドが含まれていることを確認しました。

  1. 左下の「アプリケーションランチャー」アイコンクリック → システム→ Konsole (KDE Terminal) でコンソールを開く
  2. 以下内容で ~/.distroboxrc ファイルを作成します
xhost +si:localuser:$USER
export PIPEWIRE_RUNTIME_DIR=/dev/null
  1. コンソールで以下のコマンドを実行
$ distrobox create -i ubuntu:22.04

Do you want to pull the image now? [Y/n]: に Y を入力

  1. 以下のコマンドを実行
$ distrobox enter ubuntu-22-04

以後、4. のコマンドだけで Ubuntu 環境に入ることが可能です。またはアプリケーションランチャーからも直接「Ubuntu-22-04」のアイコンを探して起動することができます。

● Ubuntu 環境の設定など

あとは Ubuntu 上で apt コマンドを使ってソフトウエアのインストールができます。

例 vfpbench のために git, clang を入れる

$ sudo apt update
$ sudo apt upgrade -y
$ sudo apt install -y git clang

例 vim + uim-mozc を使った日本語入力を行う場合

  1. ソフトウエアをインストールします

予め (3) の日本語表示設定をしておく必要があります。

$ sudo apt install vim
$ sudo apt install language-pack-ja
$ sudo apt install uim-fep uim-mozc
  1. 以下の内容で ~/.uim ファイルを作成しておきます。
(define default-im-name 'mozc)
(define-key generic-on-key? '"<Control> ")
(define-key generic-off-key? '"<Control> ")
  1. 起動します
$ export LANG=ja_JP.UTF-8
$ uim-fep

例 vscode を使う

  1. https://code.visualstudio.com/Download から 「.deb」「x64」 をダウンロードしておきます。
  2. 以下のコマンドでインストール&起動します
$ sudo apt install ./code_~_adm64.deb
$ code

活用など

SteamDeck の SteamOS はスマートフォンのように電源ボタンで簡単にスリープ可能で復帰も安定しています。持ち歩ける開発環境として便利に使えそうです。

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SteamDeck CPU の浮動小数点演算能力を調べる vfpbench の結果

SteamDeck で vfpbench を走らせてみました。
SteamDeck はポータブルゲーム専用機で、PC 向けのゲームを走らせることができます。

CPU/GPU は Ryzen + RADEON という一般的な PC と同じものですが、Zen2 Core に RDNA2 という組み合わせの APU は PC 向けとして市販されていません。Zen2 + RDNA2 の組み合わせは PS5 / XboxSX|SS / SteamDeck のみ使われており、ゲーム機専用のカスタムだと思われます。

ただしゲーム機向けと言っても SteamDeck の場合はバッテリー駆動のポータブル機なので、消費電力重視のバランス取りが行われています。Zen2 世代の APU と比べると GPU やメモリは強化されていますが、RDNA2 世代として見た場合は決して突出した性能ではなくなっています。

今回の計測は LCD の旧型 SteamDeck で、かつ SteamOS (Linux) ではなく Windows 11 での値となっています。SteamOS (Linux) 上ではまた違った結果になる可能性があります。

SingleThread SP max:  107.328 GFLOPS
SingleThread DP max:   51.903 GFLOPS
MultiThread  SP max:  448.238 GFLOPS
MultiThread  DP max:  203.651 GFLOPS

結果を見る限り、専用のカスタム CPU と言っても通常の Zen2 とほぼ同等だと思われます。浮動小数点演算の実行パイプライン本数が減らされていることもなく、256bit で fma x2 命令が同時に走っていることがわかります。

AVX vmul+addps (32bit x8) n8      :    0.380   283223.9     4425.4  ( 64.0 1.6)
FMA vfmaddps (32bit x8) n8        :    0.534   402439.6     3144.1  (128.0 1.1)
FMA vfmaddps (32bit x8) n12       :    0.803   401825.8     3139.3  (128.0 1.1)
FMA vfma+mlps (32bit x8) n12      :    0.795   304483.4     3171.7  ( 96.0 1.1)
FMA vfma+adps (32bit x8) n12      :    0.540   448238.2     4669.1  ( 96.0 1.7)
AVX vml+ad+adps (32bit x8) n9     :    0.410   295300.2     4614.1  ( 64.0 1.6)

vfpbench 結果のベースクロックは 2.8GHz 計算になっていますが、fma の IPC が 1.1 なので 8 Thread 実行時におよそ 3.1GHz 前後で動作していたと考えられます。本来 IPC は 2 ですが、SMT (Hyper Threading) なのでマルチスレッド実行時は半分の計算です。

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Meta Quest 3 対応版 TVLauncherGo

新しい Meta Quest 3 はフルカラーのパススルーに対応しており、仮想ディスプレイとしても非常に使いやすくなりました。公式の「リモート ディスプレイ」アプリを使えば PC のリモートディスプレイとして使えますし、同様のソフトは他にもあります。

また 2D アプリを複数枚並べて置けるため、ブラウザと同時に PC 画面を並べたりとマルチモニタのような使い方ができます。

F-Droid でインストールした Termux が起動したので、ssh ターミナルとして使ってみました。Bluetooth 接続したキーボードとマウスも使えており、KCM Remap による日本語配列への変更も普通の設定画面からできました。

以前のように Oculus TV アプリを使わなくても、アプリライブラリから直接インストールしたアプリを起動できます。(検索欄クリック→「すべて」を「提供元不明」に切り替え)

そのままだと縦長の小さいウィンドウになりますが、クイック設定から「ビューを切り替える」と自由にリサイズできるようになります。ただしビューを戻すとまた小さいウィンドウに戻ってしまいます。

そこで以前作成した TVLauncherGo を Quest 2/3 に対応させてみました。

標準でアプリ起動できるためほとんど意味のないランチャーですが、3種類の起動サイズを持たせてあります。

そのため TVLauncherGo 経由で転送したアプリを呼び出すと、ある程度任意の大きさでアプリを開けるようになります。ビューを切り替えなくても Termux も大きくなりました。

Large で起動すると更に巨大なサイズで Termux を開けます。

ビューを切り替えた方が簡単ですが、狭い場所でパススルーを使う場合は距離が近くて位置を調整できるこちらの方が使いやすいかもしれません。

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